ジャンル：ヒューマンドラマ、感動、動物、犬
作者：村上 たかし（むらかみ たかし）
出版社：双葉社
掲載誌：漫画アクション
連載状況：完結(2008 - 2009)
巻数：全2巻
概要
家族を失い、病に身体を蝕まれた“おとうさん”は、飼い犬ハッピーと共に、南へ……。それは残されたわずかな“生”を生き抜く旅でもあった……。ラストは、涙なしには読めません。
【引用：「星守る犬」 著者：村上たかし】
あらすじ
ある日、表紙にも描かれている犬のハッピーは、「はこ」の中で一生懸命鳴いていた時、そこに近づいた女の子に抱き上げられ、自宅で飼われるようになり、おとうさんと出会うこととなります。
しかし、月日が経つにつれ、様々なことが起こり、おとうさんは仕事も家族も失います。そして、唯一自分のところに残った愛犬のハッピーと南の方角へ旅立つこととなり、その道中の物語が描かれた作品です。
飼い犬の忠誠心が切ない
犬はよく、忠誠心の強い動物だと言われています。そして、それは本作でも同様に描かれています。
作中に、人間の心ない行動があり、飼い犬のハッピーが傷付けられてしまう心が痛む場面があります。しかし、ハッピーは人間不信に陥ってもおかしくない状況にも関わらず、飼い主のことだけは決して最後まで裏切ることはしません。
どんな状況に陥っても忠誠心を貫くハッピーには、愛しくも切ない気持ちになり、本作をきっかけに、より命の大切さに考えさせられる方も多いと思います。
現代社会が抱える大きな問題がテーマ
本作は、現代社会が抱える大きな問題について考えさせられます。そして、描かれている内容は、いつ自分自身に起こってもおかしくない内容であり、その中でも、孤独、そして社会に頼ることの難しさについて考えさせられます。
おとうさんは、愛犬のハッピーは自身の元に残りましたが、それ以外は失ってしまいます。しかし、もしも社会がもっと頼りやすいものであったなら、また違った未来を送れていたのかもしれません。
『すこしずつ すこしずつ かわっていったらなんねんもすると ずいぶんと かわってしまう…』
ハッピー
【引用：「星守る犬」 著者：村上たかし】
『望んでも望んでもかなわないから 望み続ける ただそれだけ 人は皆 生きてゆくかぎり 「星守る犬」だ』
奥津 京介
【引用：「星守る犬」 著者：村上たかし】
まとめ
こちらの作品は、「愛」というものに対する向き合い方を考えさせくれます。作中に、過ぎた出来事に対して後悔する描写が描かれていますが、決して他人事ではなく、いつ自分自身に起こってもおかしくないことが描かれている為、今いる環境が当たり前ではないことを実感させられます。
ちなみに「星守る犬」というタイトルの由来は、なぜか星を見るのが好きだった犬から、「守る」というのは「じっと見続けている」という意味。「決して手に入らない星を物欲しげにずっと眺めている犬」のことで、慣用句で「高望みをしてる人のこと」と作中で描かれています。
読み終えると、悲しい気持ちとともに、これからの人生で「愛」というものを恐れず歩んでいき、いつも当たり前のように身近にいる方に、「ありがとう」と伝えたくなる作品です。
以上、泣きたくなったときに読んでほしい漫画「星守る犬」でした。
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